宅建業に関わる仕事をしていたら、宅地建物取引士試験を受験をされた方も多いと思います。
私も過去に試験を受験して現在は宅地建物取引士として仕事をしているのですが、再度試験を受験したら・・・
かなり厳しい結果になるものと思われます。
そこで、知識の再確認をすべく、今年の試験問題を振り返っていきます。
本日で挫折することのないよう、50回続けていけますように・・・。では、第一問。
問1 AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、違っているものはどれか。
1.甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。
2.Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。
3.AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに甲土地を転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。
4.Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を知らなかったとしても、Dが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
選択肢1番から見ていきましょう。選択肢1番は、裁判例があるようですね。「売買契約が詐欺を理由に取り消された場合、当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当」としています。(S47.9.7の最高裁判決より)
これから、選択肢1番は「正しい」です。
選択肢2番は錯誤の問題です。現状、錯誤については、「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」(民法95条)とありますが、問題は、相手方は無効を主張できないのか?とそういうことのようですね。「民法第九五条但書により表意者みずから無効を主張しえない場合、相手方および第三者も無効を主張しえないものと解するのが相当」としています(S40.6.4最高裁の判決より)。
選択肢2番は「正しい」です。
選択肢3番は、通謀虚偽表示でしたでしょうか?「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」(民法94条1項)「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」(民法94条2項)とあります。
選択肢3番は「正しい」ことになります。
最後は、選択肢4番です。「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」(民法96条2項)とありますので、Aが善意のBに甲土地を売却した時点で売買契約は取り消すことができません。
Dが悪意であっても関係ありませんので選択肢4番は「誤り」です。
「違っているものはどれか」という問題でしたので、選択肢4番が「違っているもの」でした。
なんとか終わりますが、あと49回続けられるのか不安になってきました。