平成30年度宅地建物取引士試験を振り返る19回です。問22は農地法です。実務でもたまに遭遇します。
問22 農地法(以下この問において「法」という)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1.市街化区域内の農地を宅地とする目的で権利を取得する場合は、あらかじめ農業委員会に 届出をすれば法第5条の許可は不要である。
2.遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
3.法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。
4.雑種地を開墾し耕作している土地でも、登記簿上の地目が雑種地である場合は、法の適用を受ける農地に当たらない。
選択肢1番です。
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするため、これらの土地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合(農地法第5条1項6号)とありますので選択肢1番は「正しい」です。
選択肢2番です。
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
遺産の分割、財産の分与に関する裁判若しくは調停又は相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合(農地法第3条1項12号)とありますので、選択肢2番は「誤り」です。
選択肢3番です。
根拠条文がよく分かりませんでしたので、農林水産省のHPで調べてみました。
農地所有適格法人については、農地法第2条3項にあります。
http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/pdf/hy.pdf
選択肢3番は「誤り」です。
選択肢4番です。
この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。(農地法第2条1項)とありますので、雑種地であろうとも開墾し耕作している土地は農地です。選択肢4番は「誤り」です。
この問題は「正しい」ものを選ぶので、正解は選択肢1番です。今回はこれで終了です。